クリニックへ来ました。そうそう、受付で保険証を見せて〜…
…?保険証ってなんのためにあるの?保険て??
本業の医療事務の視点からそんな疑問にお答えしたい!
ということで、
今回は医療保険制度をわかりやすく丁寧に解説します。
医療保険て?
医療保険は公的保険のひとつ
保険は2種類
- 公的保険…医療保険・年金保険・介護保険・労働保険
- 私的保険…自動車保険・火災保険・生命保険等
日本の公的な医療保健制度は
「国民皆保険制度」
- 国民全員が入る
- 医療費を安くできる
- 自由に病院・クリニックを選べる
医療保険制度は病院などで治療を受けた際に支払う費用の負担を補助する制度です。
国民全員が入る
基本、国民全員が保険証を持っているって事です。
基本ってことは例外もあります。
日本で仕事をしている海外の方でも持っていることがあります。
保険料を支払う→健康保険証がもらえる→全国どこの医療機関でも受診できる
中には日本国民でも保険料を支払っていなくて保険証を持っていない人もいます。
払いたくても払えず保険に入れない人もいれば、あえて入っていない人もいます。
医療費を安くできる
医療保険を利用して治療を行うことを「保険診療」と言います。保険診療は保険証を医療機関で見せたら治療費を全額支払いしなくても、決められた分支払うだけ。つまり安くなります。
自由に病院・クリニックを選べる
保険証を使える治療内容と点数は国によって決められているので、日本中どこの病院でも同じ治療を受けることができます。治療費もほぼ同じです。

医療保険(保険証)が使えない治療、もの
保険証が使えない治療
- 仕事上のケガ、仕事が原因となった病気(労災保険が使えます)
- 健康診断
- 予防医療(ワクチン接種、病気にならないために薬を飲むなど)
- 正常妊娠・出産、自己都合理由による妊娠中絶
- 犯罪行為または故意の事故、けんか、酔っ払い、麻薬中毒などでのケガ、病気
- 交通事故によるケガ、病気(車の保険が使えます)
- 保険証を使える治療と国が決めていない最先端の高度な医療
など
保険証が使えないもの
- 薬の容器代
- 自分で交換するためのガーゼ・包帯
- 往診、訪問診療、訪問看護等の交通費
など
保険証が使えないものは全額自分でお支払いになります。
保険診療・自由診療・混合診療
- 保険診療 … 保険証が使える診療。
- 自由診療 … 保険証が使えない診療。医療費が全額支払うことになる。
- 混合診療 … 保険診療と自由診療どちらも受ける
自由診療は全額自分で治療費を支払うので高額になりますが、保険診療ではできない治療方法を選ぶことができます。
日本では混合診療は原則的に禁止されています。
でも混合診療は、国内でまだ認められていない最新の治療法や新薬を使えます。
保険証の種類
医療保険には、「社会保険」「国民健康保険」があります。
- 職域保険(社会保険)… 会社員が入る。
- 国民健康保険 … 自営業・フリーランス・一部の業種の人などが入る。
職域保険(社会保険)
職域保険(社会保険)は会社員とその家族が入ります。
保険証には○○健康保険組合、△△健康保険共済と書かれています。
国民健康保険
国民健康保険は自営業・フリーランス・雇用されている人でも一部の業種の人も入ります。
保険証には○○国民健康保険組合、□市国民健康保険と書かれています。
75歳以上の方が入る後期高齢者保険も国民健康保険の仲間です。

治療費の計算の仕方
治療費はテストみたいに計算します。
治療費は「この治療は○円」と金額では決められていません。
「診療報酬点数表」という国が決めた点数表があって、「この治療は○点」と決まっています。
この治療をしたから○点って、テストみたいな考え方ですけどね。
基本、保険証を使う時は1点10円として計算しますが、労災保険などは違うこともあります。
患者さんは治療を受けた医療機関の窓口で、全額の治療費の内の決められた分を負担金として支払っています。
患者さんは一部だけ支払い…じゃあ、残りは誰が医療機関に払ってくれるの?
患者さんが支払っていない分はどこから支払ってもらうの?というと・・・
保険証に書かれている○○健康保険組合や□市国民健康保険に請求しています!
保険証の番号が違うと医療機関は残りの治療費がもらえません。
保険証の番号はそれで大事、つまりは患者さんが使える保険証を見せてくれることが大事になってきます。
だって、患者さんから支払ってもらうよりずっと大きな金額を支払ってもらうのですから!
医療機関の窓口では毎月保険証を見て確認するように国で決められています。
なので、毎月ちゃんと持ってきて見せてください。
まとめ
では、本日のまとめです。
- 保険証は基本、日本国民なら全員が持っています。
- 保険証でできる治療は国で決めています。だから全国で同じ料金で同じ治療が受けられます。
- 保険証を使うと治療費が安くなります。でも全部に使えるわけじゃない。
- 保険証は社会保険と国民健康保険があります。
- 治療費は点数で計算していて、1点10円です。
- 患者さんが医療機関で支払う治療費は一部だけ。残りは保険証の発行元に請求しています。そのため月に1度は必ず保険証を確認するように義務付けされたいます。
医療保険制度の基本の解説でした。