病院やクリニックへ行ったときに必ず見せる保険証。
身分証明書にもなる保険証。
「重要だということはわかってるよ、でもうっかり忘れちゃうんだよね。」
「後ででもいいじゃん、いちいち邪魔くさい。」
「いつもいつも保険証見せてっていうよね。わかってるよ」
そういう方々に知ってほしい、保険証を持っていかないことのリスクとトラブル。
ということで、今回の内容は
この3つを医療事務の観点からわかりやすく丁寧に解説します!
これらを知れば「病院やクリニックへ行くときは絶対保険証を持っていくぞ!」となるでしょう。

健康保険証とは?
保険証(被保険者証)は、医療保険制度に加入している証明書です。
保険診療を受けるために情報が書かれています。
保険診療とは医療保険を使用して受ける診察のことです。
患者さんは医療機関で診察を受けるときに受付窓口で保険証を見せることで保険診療を受けられます。
正式名称は、健康保険被保険者証といいます。
保険証の確認
保険証の確認は患者さん、医療機関どちらにとっても大切なことです。
保険証の内容を確認することは義務なのです。
保険証を確認するタイミングは?
- 初診のとき
- 毎月初めの受診日
- 保険証の変更があったとき
保険証を確認する理由
患者さん側、医療機関側の両方から理由があります。
保険証の確認はwinwinな関係です。
患者さん側の理由
- 医療機関での支払いが安くなる
- 安心して医療機関にかかり、治療を受けることができる
- 日本全国で同じ治療、同じ金額
- 後日、高額な医療費の請求をされない為
どこででも簡単に治療を受けられて、それも安くなるということです。
患者さんは医療機関で診察を受けるとき時に窓口で提示することで、医療費のうち決められている割合の金額だけ(1〜3割)支払えばよくなります。
医療費が高くて診療を受けたくても支払いができないから受けられないということも少なくなります。
日本全国どこででも同じ診療の場合、同じ金額です。
保険証を忘れたり、失くしてしまった場合には、保険証を使って安く診察を受ける事ができません。
また、資格切れなどの使えない保険証を見せてしまうと、その時は診察を受けることができたとしても後で残りの金額全額を保険者から請求が来てしまうことも。
医療機関が患者さんから見せてもらった情報で保険請求するためです。
その保険証が使えるかどうかは、全てが保険証では確認できません。
有効期限があるものならばわかりますけれども。
医療機関は保険証を確認したということであれば、医療機関に落ち度はありません。
使えない保険証を出した患者さんの落ち度となります。
すると残りの医療費が保険証の発行元から忘れた頃に請求されることになります。
医療機関からも支払いや保険証持ってきてという催促の電話が頻繁に入りますよ。
旅行の時も万が一に備えて、保険証を持っていくことをおすすめします。
医療機関側の理由
- 確実に収入を得られる
保険証がなく全額患者さんの負担の場合、金額が高いために支払いができないかもしれません。
もしも患者さんが支払わなければ、医療機関は収入を得ることができません。
患者さんの支払う金額が少なければどうでしょう?
支払いできないという状況が減り、収入を得られやすくなります。
また、患者さんが支払ったあとの残りの高額な医療費も保険証の発行元に請求することで、確実に収入を得ることができます。
保険証の発行元を保険者といいますが、保険者は組合や共済などの団体や市区町村などです。
組合や共済などの団体や市区町村からの支払いが止まるということは、ほぼないでしょう。
保険者に医療費を請求することを保険請求と言います。
保険請求には正しい健康保険証の情報が必要です。
そのため健康保険証は最低でも必ず月1回は確認する必要があります。
もしも健康保険証を忘れたら?
医療機関によって対応は違います。
また、保険証を見せられなかった状況によっても違います。
対応として多いのは、自費診療として10割分の金額を一旦支払ってもらい、後日保険証を持参して確認できたら、差額を返金するという形です。
これは、医療費の徴収漏れを防止するためです。
仮に、健康保険証を確認できないまま患者さんからは3割分(一般の方の場合)しか徴収せず、過去の保険情報で保険請求したとします。
でも保険情報が変わっていたとしたら、保険情報が誤っているとして請求書を返されてしまうのです。
保険証確認をして正しい内容で請求していなかったために、診療費を受け取ることができないのです。
返された請求書は再提出が必要になり、その分の診療費が入ってくるのが遅くなります。
例えば、「ツケ」が多いとお店は仕入れなどにお金が回せなかったりして困ってしまうのと同じです。
医療機関もお薬や機械、材料を用意できなくては困ってしまいます。


未来の保険証 マイナンバーカード
2021年3月から、マイナンバーカードを保険証として利用できるようになりました。
しかし、トラブルなどがあったため本格運用は2021年秋以降。
全国どこの医療機関でも使えるようになるのはもっと先になります。
システムが追いついていないようです。
マイナンバーカードを保険証がわりにするためには、手続きが必要。
普及には時間がかかりそうです。
メリット
健康保険証としてずっと使える
就職や転職、引っ越しをしても、保険証の再交付を受ける必要がなくなります。
医療保険の資格確認が速くて簡単に
マイナンバーカード1枚を持っていくだけでOK。
専用のカードリーダーにかざすだけで、保険の資格確認が行えるようになり、医療機関や薬局の事務処理が速く簡単になるとのこと。
高額療養費の限度額認定証などの書類を持っていくことも必要ないようです。
健康管理や診察の履歴が簡単に確認できる
これまでの診察の履歴や、処方された薬剤などの情報が一元管理されます。
自分の健康状態や今までの治療の内容を簡単に教えることができます。
医療機関にとっても正確な情報を速く正しく知ることができて、細やかな医療を受けることができるようになると言われています。
医療費控除も簡単になる
自分の医療費情報が簡単に確認できるようになります。
確定申告の際には、医療機関などの領収書を集めなくても、医療費控除の手続きができるようになります。
デメリット
情報漏洩
最大のデメリットです
マイナンバーはすでに税金や住民サービスに使われていますが、ずっとこれが危ないと言われてきました。
色々な、多くの、もっとも個人的な情報が1つのところで管理されるのは便利なことです。
けれど、もしも漏れてしまったら誰にどんなことで使われてしまうか・・・。
漏れた時のことを考えると怖いですね。
情報収集と利用
いいねポイントでもありますが、だめポイントでもあります。
医療情報が集まるということは、国民の健康状態を収集できるということです。
民間や個人が知るところではないのでいいという方。
たとえ国でも嫌だ知られるのはという方。
どちらの意見ももっともです。
これらメリットは患者さんや医療機関、薬局にとって簡単便利にそれを宣伝していますが、国など政策を行う方から見ても便利のなるということです。
マイナンバーカード導入したときと同じですね。
まとめ
体調が悪いとき、痛いとき、つらい時に最初の受付段階で保険証で揉めるのはかなりのストレスですよね。
医療事務側としてもはっきり言ってかなりのストレスです。
具合が悪くて来ている方にそのような事で困らせたくはありません。
お互いのために保険証は必ず持って病院やクリニックに行ってくださいね。
またね。